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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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歪んだたより 探偵奇談4

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(ばあちゃんが生きてたら)

なんて考えたって始まらないし、いまは郁が心配だし、伊吹とは微妙な空気のまま別れてきたしで、もうなんだかうまくかない。

(十二時を過ぎた…)

腕時計を目にして、ぼんやりと考え事をしながらずいぶん経ったことに気づく。すっかり深い夜の中だ。携帯電話が着信を告げる。郁からだ。

「一之瀬?」
『須丸くん、いま、来たよ』

緊張を押し殺そうとする声で郁が告げる。

「出たのか!」
『う、うん、怒鳴ってやったら消えたんだけど…』

郁の声が震えている。震えているのを必死でごまかそうとする声色だった。

「大丈夫か」
『う、うん…でもちゃんと、顔見たよ。鳴ってた音も消えて静かになった。まるで家から出ていったみたい』
「たぶんもう、今夜は大丈夫だと思う」

一時的に去ったと考えて大丈夫だろう。

「一之瀬がんばったな。ありがとう」

郁の見たその女こそ、一連の怪奇現象の犯人だ。そいつに「やめさせる」ことができれば、事件は解決すると、瑞は確信している。

『…ほんとにもう来ない?』
「うん。テレビと電気つけて寝るといい。安心できるから。詳しいことは明日話そう。もう休んで」
『わかった』
「お疲れさん」

おやすみ、と告げて通話を切る。あいつすごいな、と感心しながら。

(それに比べて、何やってんのかな俺は)




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