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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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歪んだたより 探偵奇談4

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這う首



風呂を借りて、室内でテレビを見て過ごしている。みし、がたん、と時折部屋のいろんなところで音が鳴るが、郁は怜奈とともに無視して笑っている。
瑞が言っていた。逃げ出せば向こうのおもうつぼだ、と。
ならば知らんぷりをするのも有効な手段のような気がするのだ。二人でそう示し合わし、テレビを見て笑いあう。他愛のない話に花を咲かすうちに、怜奈の緊張感もすっかりとけていた。この場に郁がいるのが心強いのだろう。

「眠い?そろそろ寝ようか」
「わ、すみません」

郁が欠伸を噛み殺したのを見て、怜奈が言う。明日も朝練に顔を出すつもりだから、もう寝たほうがいいかもしれない。

「ベッドせまくてごめんね」
「気にしないでください、あたしどこでも寝れるんです。怜奈さんは大丈夫?」
「うん」

二人してベッドに入り、電気を落とした。虫の鳴き声が聞こえてくる。網戸にして開け放った窓から、そよそよと風が入ってくる。

「今日、本当にありがとうね」

怜奈の声が、闇に柔らかく響いてくる。

「正直、こんなおかしな話に付き合ってもらえると思ってなくて…嬉しかったの。一之瀬さんはもちろんだけど、須丸くんと神末くんにもすごく感謝してる…」

心地よさそうな声だ。もう眠りに落ちる寸前のような。

「解決しなくても、こうやって力を貸してくれるひとがいたるんだっていう事実だけで、頑張れそうなくらい…」

そのまま声は消えて、寝息が聞こえてきた。

(眠ったみたい…)

郁は起こさないようベッドを抜け出す。間接照明の柔らかな光の前に座り、携帯電話を確認する。瑞からの連絡はきてない。いまはとくに指示はないということだろう。

ここへ来る前、瑞から受けた指示がいくつかある。