歪んだたより 探偵奇談4
不可思議な力を持つ瑞には、夢もまた現世では交わせない会話や関わりをするための場所であるのかもしれない。祖母は瑞にとって特別な存在で、それは死後も変わらないのだろう。
「先輩もいた」
どきりとする。
「ばあちゃんが、子どもの俺に言ってた。御縁があるひととは、この先の未来で出会うかもしれない。もしくは、」
視線が伊吹をとらえた。
「まだ生まれるずーっと前、自分が別の誰かだったころ、御縁があったひとだろうって」
生まれる前?別の誰かだったころ?
「…輪廻転生って信じる?」
魂が繰り返すという?ばかな、と笑おうと思うのに、こちらを見る瑞の目は真剣だった。この答えしかもう、すがるものがないとでも言うように。互いに持つ既視感の正体を、なんとしてでも知りたいと、瑞は思っているのだ。だから、そんな非科学的なことにすがっているのかもしれない。
しかし伊吹は。
もし瑞の言う輪廻転生が本当だとしたら。
過去、生まれる前に自分をやっていた誰かが、思い出してはいけないのだと警告を発しているように思っている。この再会は、本当は何らかのイレギュラーで、あってはならない出会いだったのではないか。初めて会ったその日から、懐かしさと同じくらい、そんなふうに感じるのだ。
作品名:歪んだたより 探偵奇談4 作家名:ひなた眞白