歪んだたより 探偵奇談4
「一之瀬、今日、怜奈さんのうちに泊まれる?」
「え、あたし!?別にいいけど…」
「いいの、一之瀬さん」
「うん、怜奈さんを一人にする方が心配だもん」
怖がりな郁だが、優しさゆえにすんなりと承諾してくれた。さっきまで怖がっていたのに、女の子というのはちょっとよくわからない。
「あたし、一之瀬さんのお母さんにちゃんと説明するね」
「ワーすいません、勉強みてもらうってことにしといてください」
「うまくいけば、このわけわかんない怪現象は、今日で最後にできるかもしれません」
瑞の言葉に、おお、と一同が目を丸める。うまくいけば、の話だが。
「俺が行ければいいんだけど、男子禁制だから。一之瀬に託すよ」
「わかった、何したらいいの?」
「郁や、耳をお貸し」
瑞は郁の耳元で囁く。
「…うん、うんん、うん…わかった。それを、確かめたらいいのね?」
「うん。できるか」
「ちょっと怖いけど、やってみる」
よし。決まった。
「じゃーあとは一之瀬に託した。俺らは夜、近くに待機してるから、なんかあったら連絡して。行こう先輩」
「は?え?」
瑞は伊吹を引っ張って店を出る。郁と怜奈が驚いた表情で呼び止めているが無視だ。
作品名:歪んだたより 探偵奇談4 作家名:ひなた眞白