きっとすべてうまくいく 探偵奇談3.5
「夢でも、会えてうれしい」
会いたいと、祖母も思ってくれているのだろう。
「瑞、気を付けて」
「え?」
「ばあちゃんも守ってあげるけど」
祖母の姿が揺らぐ。
「気を付けるって?」
「おまえがこれから出会うものだよ。悪意や憎しみは、いろんなことを引き起こす…」
「…どういう意味?」
問うたときには祖母の姿は消えていた。
ばあちゃん、と次に呼びかけたときには、ベッドの上だった。
目が覚めた。夜明けが近いのか、部屋の中はうっすらと明るい。
(…ばあちゃん、警告してた?)
祖母が夢に出てきたのは、彼女を失って初めての経験だった。直前まで祖母と向き合っていた生々しい感覚が残っている。気をつけろと、言っていたが。
(なんだろう、それからほかにも何か…)
しかし祖母の警告以外には何も思い出せない。喉の奥に小骨がひっかかったようなもどかしさ。最近こんなことばかりだな、と起き上がって考える。
(この町に来てから…)
自身を取り巻く環境が変化したことに、少しずつ慣れてきたつもりだったが、何かまだ大きな変化が自分を待ち受けているような感覚がぬぐえない。
作品名:きっとすべてうまくいく 探偵奇談3.5 作家名:ひなた眞白