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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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きっとすべてうまくいく 探偵奇談3.5

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きっとすべてうまくいく。

そんな言葉、未来をすべて見通せる神様くらいしか呟けない言葉に思える。伊吹は根がネガティブだから、そういった言葉にはあまり共感ができないのだが、瑞の口から紡がれると、すんなりと信じられてしまう自分に驚く。

それはきっと、この後輩が手探りと不安の中で繰り返しているであろう言葉だからだ。

未来なんてわからない。うまくいくことばかりじゃない。努力は必ずしも報われるとは限らない。それでも強がるように、弱い自分を奮い立たせるように、どうにもならない運命に抗うように、その言葉を繰り返すのだ。自分を、あきらめたくないから。

「だから俺らのペースでやっていきましょ」
「そうだな。さっそく愚痴ってすまん」
「中間管理職同士、愚痴り合いましょーね。俺もいっぱい愚痴ると思うし」

中間管理職か?まあいいけど。なんだかもやもやしていたものが吹っ切れた。やるしかないか、と伊吹はようやく腹をくくれたのだった。

「おはよおございまーす!!」

玄関からでっかい声が響く。郁が、意気揚々とやってきた。

「おー元気になったじゃん」
「うん!あたし頑張るよ!」

やる気にみなぎる郁が、鞄からiPodを取り出して瑞に返した。

「ありがとね。元気でたよ。あたしねえ、一番上のこのヒトの全部好き!かっこよかった!」
「うん、俺も好き」

きっとすべてうまくいく。

郁が笑っているのを見て、伊吹はその言葉を信じてみようという気持ちになるのだった。