きっとすべてうまくいく 探偵奇談3.5
よし、気持ちも入ったし稽古だ。着替えに向かおうとしたとき、玄関に誰かが現れる。
「…あの、すみません」
制服姿の女生徒だ。弓道部員ではない。ネクタイの色を見ると三年生だ。栗色のストレートヘアが柔らかく揺れている。
「弓道部に、須丸くんて、いますよね?」
瑞に用か?彼を振り返るが、こんなひと知らないよと言うように首を振った。
「わたし困っていて、あの、須丸くんって、幽霊とかが視えるって聞いたんですけど」
そっち方面の相談だろうか。
「えっと、俺どうしたらいいの?」
瑞が困ったように伊吹をつつく。
「俺に聴くなよ…」
「えー…」
女生徒の来訪は次なる事件への幕開けであった。
瑞が夢で聞いた警告が現実のものになることを、一同はまだ知らない。
.
作品名:きっとすべてうまくいく 探偵奇談3.5 作家名:ひなた眞白