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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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きっとすべてうまくいく 探偵奇談3.5

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散々泣いて帰り、ご飯をちょびっとだけ食べる。風呂で汗を流した郁は、ベッドに倒れこんだ。

「はあー…」

まだ目が腫れているようで、熱を持っているのがわかった。明日も朝から自主練だし、ちゃんと気持ちを切り替えないと。強くなれよって、宮川主将が言っていたのだから。

(そうだ、須丸くんの…)

制服のスカートを探って借りたiPodを取り出す。電源を入れてリストを見る。

「プレイリストの名前、弓道、だって」

本当に、試合の前後に聴く用に編集してあるらしい。郁からしたら、弓道において瑞は上級者だ。そんな彼でも、こうして自分なりの集中方法や立ち直り方を持っている。それが何だか嬉しくて安心する。瑞でも不安を感じたり、緊張したり、落ちこんだりするのだ。自分と同じように。

イヤホンを耳に入れて一番上から再生する。
刻むようなギターの音と、心地よいボーカルの声が響いてくる。美しいメロディラインと、のびやかな声。

(あ、好きかも)

目を閉じて音楽に集中する。

(須丸くんも不安なのかな、副主将…)

先輩たちがいなくなる、というのは寂しいとかいう感情はもちろんだが、部員たちをもう一度まとめなおし、同じ目標に向かっていく軌道を一から作り上げていくということだ。その責任の一端を、同じ学年の瑞が負う。

(泣いてる場合じゃないよ…あたしも力になって頑張らなきゃ…)

そんな決意が沸いてくる郁の背中を押すように、耳に心地よいフレーズが流れていった。