お蔵出し短編集
『もしもしッ!』
と奇妙なハイテンションで響いたのは、どこかで聞いたやや高めで、ペースの速い男の声だった。
『はい!ワタクシ、タカラダと申します!タカラダです!おなじみ、『ジャパンネットワーク商会』のタカラダですよ!本日は!そう!あなたにオススメの商品がありましたので突然ですが、お電話させていただきました!』
電話の向こうの声はそう言った。
タカラダ。
タカラ、ダ。
―――誰だ?
と言うか、何で事務所からの着メロでこんな男が喋っている?
『あなたにオススメの商品は、はい、こちら!
聞いて驚いて下さいよ?
なんと―――水道水!本日は、水道水のご紹介です!』
で、僕は、
―――この場合、一体どうすれば良いんだ?