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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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「ゴールだ」

ふわふわした足取りで宮川を追い、なんとかゴールの駐車場までたどり着いた。記念碑のある石台の上に、巻き藁矢が並んでいる。これを持って帰ればいいわけだ。

「えっと、主将の矢って」
「その、右端の黒いの。とって帰ろう」
「わ、わたしが持ってもいいんですか?」
「いいけど別に」

そんな大切なものに触れてもいいのだろうか。郁はそーっと壊れ物を扱うように矢を持ち上げる。

(うわあ宮川主将の矢だ~。やばい、超キレー!)

郁は押し頂くように掲げて祈った。

(わたしも上達しますようにわたしも上達しますように!あわよくばお嫁さんに)
「何してんだ」
「ひいっ!!あ、あの、が、願掛けです。わたしも主将みたいにうまくなれますようにって」

最後に付け加えたやましい願いは、もちろん口にできない郁だった。それを聞くと、宮川は。

「なんだそれ。おまえって面白いなあ」
「!」

笑った。こんなふうに笑ったとこ、初めて見た!胸がどきどきして、目が離せなくなる。

「お…もしろいですか?!」
「うん、よく奇声あげるし」
「よ、よかったです、お、おもしろいなら!うん、よかったです!」
「ははっ!」

また笑った!おもしろいと言われて喜んでいいのかはわからないが、この笑顔を見られるのだったらきっと喜んでいいのだろう。
ああ、大好き。お嫁さんにして下さい!

(あの占い、当たってたのかな~今日はいいことあって幸せだな~!)

軽い足取りでキャンプ場まで戻る。

そのころ。
幸福な者がいる一方で、瑞は災難に見舞われていた。