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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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とんだ災難



「なあ須丸、なんかお経聞こえね?!」
「録音したの流してるだけでしょ…」
「なあ須丸、俺なんか寒いんだけど!!」
「かき氷喰いながら歩いてるからでしょ…」
「なあ須丸、トイレ行きたい!!」
「あーーーめんどくせえ!!」

面倒な先輩と組まされ、瑞はげっそりしていた。何が悲しくて野郎と組んで肝試しなんて…。これが俺のひと夏の思い出?そりゃないよ…。せめて女の先輩ときゃあきゃあ言いながら歩かせてほしかった。

「いい加減、三年の平常心とかいうの見せて下さいよ!」
「そんなもんとっくに捨てたよ俺は!こええもん!」
「もーーー!!」

確かに雰囲気はばっちりだ。真っ暗闇の遊歩道。懐中電灯の光、お経。時折聞こえる囁くような草の音。脅かし役がいるとわかっていても、これは結構怖い。

がさっと茂みから音がして、二人一緒に立ち止まる。

「須丸!!なんかいるぞ!!」
「二年生ですって…」

懐中電灯で音のしたほうを照らすと、草むらからにゅっと般若面が突きだしていた。

「ぎょえええーー!!」

高木がのけぞってひっくり返る。すさまじい悲鳴だった。

「だ、大丈夫か?!」

悲鳴に驚いたのか、隠れていた脅かし役が慌てて茂みから飛び出してくる。聞き覚えのある声だった。