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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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(大丈夫かなあ…主将はいつも通りですごいな)

隣の宮川はじっと腕組みをして雑木林を見つめている。やがて郁らの番が来て、懐中電灯を片手に遊歩道へ向かうこととなった。

静かだ。二人きり。緊張して、郁はお腹が痛くなりそうだった。

(やばい、しゃべれない…)

遊歩道は整備されており、昼間ならば美しい景色が見られるのだろう。小川が流れていたり、藤棚があったり。それが真っ暗闇の中では恐怖を煽る効果音と奇妙なオブジェだ。不気味な雰囲気が漂っている。

「一年にはきつい合宿だろ?無理してないか」

前を行く宮川が声をかけてくる。それだけで、ほっとできる郁だ。

「は、はい。みんな結構元気ですよ」
「そうだな。おまえらランニングの途中、川遊びして涼んでたらしいしな」
「ひいっ」

ばれてた!

「まあいいけど。今年の一年は破天荒で威勢がいいよ。二年はこう、まじめな奴が多いから」

稽古中以外で宮川と喋るのなんて、ほぼ初めてではないか。穏やかな会話に、肝試しの恐怖心など殆ど感じなくなっている。時折しげみがガサガサ鳴ったり、むにゃむにゃとお経が聞こえてくるが、隠れている二年生たちの仕業だろう。怖いよりも、憧れのひとが隣を歩いているというそれだけで、もう夢ごこちなのだった。

(もっと女子らしく、キャーとかって怖がった方がいいのかな…?)

でも怖くないのだ、本当に。不思議だ。この安心感。宮川がいるなら、幽霊が出ても大丈夫だと、なんの根拠もなく感じる。