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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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「弓道部夏の恒例行事、肝試しで平常心を鍛えようの会、イエ~~」

しーん。
キャンプ場に集められた部員たちは、気が進まない表情で進行役の三年生を見つめていた。日が暮れて真っ暗闇の山の中。なんだか涼し~い風も吹いてきて、怖い雰囲気はばっちりだ。鳴いているのはふくろうだろうか。山の中はよくわからない生き物の鳴き声が響いている。

「一年が三年と組んで、先輩の平常心を見習うんだ。二年は全員脅かし役として隠れているからな、心してかかれよ」

この遊歩道を歩いていくと、どんつきに登山者のための駐車所がある。その街灯の下に置いてある先輩たちの巻き藁矢を一本回収して戻るのだという。怖いのは嫌だな、と思いながら郁はペアを決める籤を引く。

「わたし6番です~」
「あ、俺」
「えっ!?」

息をのみそうになった。宮川主将とペアになった!!固まっている郁のもとに瑞が飛んできた。

「やったな一之瀬!押し倒して来いよ!」
「何言ってんの!?」
「ガンバレッ!」

瑞に肩をばんばん叩かれる。なにを頑張れと言うのだ。

「ちなみに俺は13番。ラストだ。誰ですか?」
「須丸~~!!頼むよ俺を守ってくれ須丸~~!!」
「高木先輩…」
「俺ほんっとダメなんよ怖いの~~!!もう片時もおまえから離れないからな!!」
「さっき喜々として進行してたじゃないすか。もー疲れるわー」

ざわめきの中、籤順にペアが雑木林に向けて出発していく。キャンプ場は静かで、なんとなく誰もが言葉を発するのを遠慮しているかのようだった。ときどき雑木林から悲鳴が聞こえてきて、一年生は全員凍り付いている。どんだけ怖いの?