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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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「肝試し、一年は三年と組むんだよ。弓道部の伝統でね、一年は三年の鍛え抜かれた平常心を見習うんだって」

夕食の席で、郁らは先輩からそんな話を聞く。宴会場に用意された夕食だったが、暑さと疲れで郁は食欲がない。一年生は大半がそうだった。がつがつ食べている先輩たちは、さすがだなあと感心する。

「でもうちら、平常心じゃいられないわー。結構雰囲気あるんだ、ここの肝試しコース」
「えっ、先輩たちでも怖いんですか?」
「怖いよー。雑木林の中の遊歩道なんだけど、途中に古びた神社があったりしてさ」

途端に不安になってくる。大丈夫だろうか。瑞といて、不可思議なことを経験した郁だったが、相変わらず幽霊や暗闇は怖い。

「郁ちゃんさ、宮川と組めるといーねえ」
「えっ!?」
「いつも乙女な目で見つめてるもんねえ」
「うんうん」

先輩たちにからかわれ、郁は慌てる。宮川主将と肝試し?そんなことになったら心臓が止まる。無難に女の先輩とがいい…。

宮川といえば、向こうのテーブルで顧問やOBと食事をしている。食事している彼を見るのは初めてで、しかも袴姿ではなく貴重なTシャツにジャージ姿だ。こういうのも合宿の楽しみだ。先輩たちと、いつも以上に親しくなれる気がする。和やかでわいわいした、部活にはない雰囲気が楽しかった。