刹那にゆく季節 探偵奇談3
「今度は血液型占いか?占いは信じてないんじゃないのかよ」
「信じてないけど、なんか血液型ってタイプあるでしょ」
「おまえなに?」
「AB」
「あー」
「なんすか、あーって」
「なんつーか、秘密主義っぽいから」
「ワー偏見」
先ほどの空気が嘘のように、いつも通りのなごやかな会話が戻ってきた。
「こんな時間も一瞬なんだろうね」
そんなふうに呟くのが聞こえた。
「すぐに、終わっていく」
独り言だったのかもしれない。
こんなにも身近に、会者定離は存在している。何気なく生きている毎日の中に、切り離せず存在している。いまこの瞬間にも、自分のなかの何かが失われていっている。いまこの瞬間にも、自分の大切なひととの別れは迫っている。
なんて儚い世界を、自分たちは生きているのだろう。
それを考えると、伊吹はたまらなかった。
作品名:刹那にゆく季節 探偵奇談3 作家名:ひなた眞白