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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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「なんだよ」
「えっと…昨夜はすみません」
「は?」
「みんなの前で、言いにくいこと聞いちゃったなって…」

すみませんと再び頭を下げられる。

「えっ、なに?」
「だから、付き合ってたヒトと別れたことですよ。先輩笑ってたけど、内心どう思ったかなって。みんないたのに、おかしなこと聞いてすみません…」

頭を下げて気まずそうにしている瑞。

「なんだ、そんなこと気にしてたのか」
「はい、まあ」

それでわざわざ謝りに来たのか?繊細というか、結構気にしいなんだな、と伊吹は思う。

「いいんだ。別に気にしてないし」

なんかちょっと救われたし、と言うのは悔しいからやめておく。よかった、とほっとしたような声が返ってくる。向こうできゃあと歓声があがった。誰かがねずみ花火を放ったらしい。

「先輩、占いって信じる?」

なんだ、唐突に。

「信じる信じないっていうより…興味ないからなあ」
「俺ね、占いによるとこの夏から人生の大きな転機に入るんだって。そんなの全く信じてないんだけど、転校して、環境変わって、そこで先輩に出会って、これって自分の人生のなかで大きな転機だと思ってるんだ」
「……」

どこかで会ったはずなのに思い出せない。互いに、そんな漠然とした不安と懐かしさを感じている。出会ったころより深まっていくその不可思議な感覚は、見えないし掴めないのだけれど、伊吹を猛烈に悲しくさせるのだった。そしてたぶん、瑞も同じように感じている。だからこそ、突き止めたいと思っているのだ。