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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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せめていまだけは



二日目も、厳しい暑さの中で稽古が続いた。短時間で集中するため、稽古の内容を増やして充実させたおかげか、中身の濃いものとなった。個人での技術面でのレベルアップはもちろん、一緒に生活をしたことで、意欲や刺激を得ることもできた。身体はくたくただったが、気持ちは元気だ。伊吹はそんな充実した思いで花火を見つめる。

「先輩、写真撮りましょーよー」
「はいはい」
「いえーい!」
「おまえら元気だなー」

明日は帰るだけ。合宿の全日程を終え、一年生もほっとしたようで無邪気にスマホで撮影会に勤しんでいる。向こうでは川の水のかけあいが始まり、歓声が上がっていた。今ばかりは主将にも顧問にも、昼間の厳しさが見られない。穏やかに笑っているから、彼らも内心ほっとしているのだろう。最後の夜が、なごやかに過ぎていく。

「伊吹先輩、」
「あーお疲れ」

石に腰掛けてぼさっと後輩たちを眺めていた伊吹の隣に、瑞が腰掛けた。

「一年はしんどかったろ、二日間」
「少し。でもすごくいい経験になりました」

安堵と達成感のためか、ほんの少し声が眠そうな瑞だ。

「伊吹先輩の射も、すごく勉強になったし」

瑞は経験者ということもあり、他の一年生とは別メニューを組んでいることが多かった。中でも、他人の射を見ることに時間を割くよう顧問から言われていたという。

「それで先輩、あのですね」

突然そわそわしだした瑞が、居心地悪そうに頭をかいた。