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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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「ふうん、その女、後悔してると思う。見る目なさすぎ」

伊吹の心境とは裏腹に、瑞があっけらかんとした口調で言った。おかげで、ちょっとしんみりしかけた空気がふわりと軽くなる。

「女の子を幸せにするのって、最終的には刺激とか楽しさとかじゃない。優しさとか思いやりなんだって。死んだばあちゃんが言ってました」
「……」
「だからね、先輩はそんなのと別れて正解だよ。先輩にふさわしくないもん」

真正面から、まじめな顔をして言われる。からかっているわけでも、ふざけているわけでもなく、彼は真剣に言っているのだ。
おまえが俺の何を知っているんだよという気持ちと、自分を認めてもらえたのだという不可思議な安堵が沸いて。

「ぶっ」

伊吹は吹き出して笑った。

「ちょっ…なんで笑うの!」
「だっておまえまじめな顔でさ~!!」
「えー!?うっわ、恥ずかしい俺…」

突然慌てだすさまがまたおかしくて、伊吹は笑った。そして周囲の男子らは拍手喝采だった。

「そんなことねえよ須丸!おまえいいやつだな!」
「くそすかしてる野郎だと思ってたけどよ!」
「心に沁みた!!感動した!!」
「カンパーイ!!」

盛り上がってしまった。大笑いしたら、もやもやしていたものが吹き飛んだ気がして、伊吹もすがすがしい気分だった。なんだか解き放たれたような気持ち。

内心で、ちょっと瑞に感謝する。