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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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刹那にゆく季節 探偵奇談3

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「足音、近づいてるぞ…!」

高木がかすかすに嗄れたこれで言う。だめだ、一度落ち着こう。平常心を失い、全員が恐慌状態に陥れば、何が起きるかわからない。パニックというのは、いらぬ怪我やトラブルをも引き起こす。

「とにかく落ち着こう!」

伊吹は二人の肩をガッと掴んだ。

「こんなときこそ思い出すんだ、的前の緊張感を。呼吸を意識して、丹田に力を――」


ガサガサガサガサッ!!


背後に近づく足音が急にスピードをあげた。こうなるとぎりぎり保っていた伊吹の平常心も吹き飛ぶのだった。


「ぎゃーーーーーーーー!!」


三人は抱き合ってその場に伏せた。見つかった、もうだめだ!殺される!

ブキッ、ブキキッ

「え?」

茂みから出てきたのは、イノシシの子どもだった。ふんふんと鼻を鳴らしたのち、伊吹らを一瞥すると行ってしまった。

「…ウリぼう、ですね」
「……うん」
「…ウリぼうだな」
「誰っすか、丑の刻参りとか言ったの!」
「おまえだろうが!!」
「だいたい高木先輩が!」