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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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眠りの庭 探偵奇談2

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「神末、知ってる?実習棟の鏡割られてる事件」
「あー、聞いたよ昨日」

弓道部の男子更衣室。部活後の緩い空気の中で、伊吹は同級生にそんな話を振られた。なんでもトイレの鏡が割られていて、教師がおかんむりだとか。

「バリバリらしいよ」
「こええな」
「案外、ストレスたまった先生の仕業だったりしてな」

そんなことして楽しい人間がいるのだろうか。伊吹には理解できない。着替えを済ませて更衣室を出ようとすると、一年生が瑞に声をかけているのが聞こえた。

「おーい須丸、起きろー」

胴着姿のまま座り込んでいる瑞の肩を、友人たちが揺さぶっている。瑞は、あーとかうーとか生返事をしながらも力なくへたりこんだままだった。

「なんだ、寝てるのか?」
「神末先輩、今日こいつずっとこんなんなんですよ。授業中もずーっと」
「そういや今日の稽古中もずっと欠伸してたな」

昨日は寝不足とか言っていたけれど…。

「おい、もう道場閉めるから着替えろ」
「俺眠いんですよォ…」
「家で寝ろって」

酔っ払いみたいに言う。早くしろよ、と頭を軽くはたいてやった。

「…だってうるさいんです」

は?

うわごとのように、瑞が繰り返す。目がうつろだ。本当に眠いのだろう。

「頭の上でずっとうるさいんですよ…土足でドカドカドカドカ…眠れやしない…うるさいんだ、勝手なことばっかりしやがって…」

何言ってるんだ?瑞は、その場にいる後輩らと顔を見合わせた。

「うるさいんだってマジで。くっそ、頭われそ…」

…うわごとか?

「須丸」
「っ!」

強く肩を叩くと、びくっと身体を震わせた彼は、驚いたように伊吹を見た。