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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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眠りの庭 探偵奇談2

INDEX|22ページ/37ページ|

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厭うは喪失



午後の授業は自習になった。緊急の職員会議が行われるらしい。教室は重苦しい雰囲気だ。普段ならば、自習だ自由だとテンションのあがる生徒たちが、恐怖に固まってしまっているようだ。ショッキングな現場に立ち会った数人の女子生徒は、まだ数人で固まってシクシクと泣いている。郁は彼女らの背中をさすりながら、神末伊吹のことを考えていた。

(大丈夫かな…)

付き添って保健室に行った瑞も、まだ戻ってこない。幸いけがは軽く、救急車を呼ぶ必要もなかったようだけれど、郁だって保健室にとんでいきたい気分だった。

(浅田さんとの話を聞く限り…これは祠に眠る狐の仕業なんだよね…)

あの庭に、たくさんの魂が眠っていて、生徒たちを見守ってきた。その眠りを覚ます冒涜に、怒っているのだという。

「今日さ、もう授業どころじゃないよねえ」
「そうだね…部活もきっと休みだね」

誰もが囁くように言葉を交わしている。

「絶対おかしいよ」
「ケガしたってさ、二年生の先輩…」
「見た。血出てた」
「腰抜かして気を失った子もいたって」
「誰もいないのにひっくり返ったんだってよ、重機」
「毎日ガラス割れるし、うちの学校やばくねえか」

瑞が解決に乗り出そうとした矢先の出来事。たまたま通りかかった伊吹が怪我をした。胸が痛む。
こんなこと、もう二度と起きてほしくない。自分にできることがあれば、なんでもしたい。そう願うことしかできない自分が歯がゆかった。