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「お狐さんは、だいぶ怒ってました。何が起こるかわかりません。生徒に手を出すことはないだろうけど、このまま工事が進めば――」

そこまで言って、瑞が唐突に口を閉ざした。

「どうかしたかい」
「須丸くん？」

具合でも悪いのだろうか。そのとき、瑞が頭を抱えて絶叫した。



「出ていけええッ！！！！」



その叫びに呼応するかのように、遠くから轟音が響いた。ズシンという地響きが身体中に伝わる。

「な、なに？地震？す、須丸くん平気？」
「……まずい」

うなだれていた瑞が顔をあげて外に飛び出した。浅田は、郁と目を見合わせてそれを追う。運動場から校舎へ回ると人だかりができていた。

「ちょっとあれやばくないですか？！」

郁が指さす先は砂煙があがっている。生徒たちが大騒ぎしている声が聞こえた。浅田も慌ててそこへ駆け寄る。どうやら中庭だ。人だかりを進むと、先生呼んで、救急車、という怒号が飛び交っていた。

「こーずえ、大丈夫か！」
「誰か先生呼んで来いって！」

瑞が人垣をかき分けて叫んでいる。中庭にある重機が倒れていた。まるで吹き飛んだかのように、ひっくり返っている。そこを通りかかったらしい生徒がうずくまっていた。数名がそれを囲んでしきりの名前を呼んでいる。瑞もまた、そばで蒼白な顔をしていた。