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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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眠りの庭 探偵奇談2

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嘆くは憂い



少年と少女がこの部屋を訪問したのに、浅田は驚いた。長年この学校に務めているが、用務員室に生徒が来るというのはあまりない経験だったから。

「浅田さんですか?」

背の高い、綺麗な髪の色をした男子生徒と、小柄な女子生徒。男子生徒のほうは、独特の雰囲気をまとっている。今どきの男子高校生なのだが、大人びた口調と遠くを見るような視線が目を惹いた。

「はい、浅田です」
「突然すみません。しかも昼食時に」
「いいんですよ、もう食べ終わっていますから。どうぞ」

えらく恐縮したふうの二人に、冷蔵庫の麦茶を振る舞う。畳の上に座った二人はそれを飲み干した。喉が渇いていたのだろう。ごちそうさまです、と頭を下げる姿が高校生にしては珍しく礼儀正しいと言えば、弓道部だという。作法にも厳しいのだろう。

「一年四組の須丸瑞といいます」
「あ、一之瀬郁です」
「ちょっと聞きたいことがあるんです。こちらの高校に長くお勤めなら、ご存じかなって」
「なんでも聞いてくださいね。ここでは一番古株なんですよ。母校でもありますから」

生徒との交流は、浅田にとっては嬉しいことだった。若い彼らと話していると、活力が沸いてくるのだ。生徒会のメンバーとのボランティア活動も、新鮮で楽しい日課である。

「中庭に祠があるんですけど…どんな由来があるかご存知ですか?」

祠、と隣の郁が首を傾げている。

「あの祠ですか。工事をしている中庭の。何か気になるんですか?」
「はい」
「詳しいことを聞いてもいいですか」

瑞ははあ、とうなずいた後で、信じてもらえないかもしれませんけどと付け加えた。