スケッチ ♯2
嘘つきを愛したら
あまくてにがい
あまくてにがい
口の中で 繰り返し唱えた
ぺろりと出した舌を
あなたがさっと食んでゆく
わたしは恥ずかしくなって
ちょっと、と言おうとしたけれど
その言葉まで食んでゆくから
あなたはいつまでもわたしのいちばんなのかもしれない
チョコレィトの
味がする
離れていったあとで
あなたが言おうとした言葉をお返しに食べた
言ってはいけない
魔法の言葉
わたしだけが食べる
誰にも気付かれてはいけない
ああ 苦い苦い
さっきとこんなに
ちがうのはどうして
約束できない明日
今日も嘘つきを愛して
この箱の中身は
此処で空にして帰って
誰にも気付かれてはいけない
私たちだけが
食べる
(コミュニティ「詩を作りましょう」
2月のお題に寄せて。「甘くて苦い」)