路上の詩人
冬
白い音が響く
おそれふるえながら
言葉を失い
かくれるように
埋もれ覆われ
白無垢の女が立っている
この詩を読んであなたが好きになったのよ。いけない。
僕は駄目な人間だからね。
何があったか知らないけれど、やり直せるよ。
そうだといいけれど
別れた人にはいつも言われていたよ
金にならないことを一生懸命やって何になるのさ
それはそうだよ。働くんだよ。
働く所なんかないさ。
私に恋をしてよ。きっとその気になるよ。
誠は本当に好きになっていいのかと尋ねた。
「私は夏目麗です。本名よ」
「僕は上田誠です」
「ペンネームと同じなのね」
「はい」