路上の詩人
鉄筋工
コンビニで弁当を買いレジを待っていると、2人の男がレジを待っていた。
「こう忙しくては誰か欲しいよな」
「働く所がねえって言うのに俺たちのところには来ねえな」
二人の着ているものは、ニッカズボンと言われるものであった。
誠は建築関係とすぐに解った。
「仕事探しているんですが、自分では駄目でしょうか」
誠は自然と声が出た。
「まぁ誰でもいいってわけではねえが、やる気があればいいよ。鉄筋工って知ってるか」
「知ってます」
「経験あるのか」
「ないですが」
「現場はここだ、仕事着で来てみな」
一人の男がそう言った。紙切れに赤羽、T工務店マンション現場。
と書かれていた。
「宜しくお願いします」
「当てにしてるよ」
誠は自分の気持ちがはっきりとしたように感じた。
麗の部屋に戻ると、弁当を広げた。
自分以外のために気を使ったのは久しぶりであった。
「お湯を沸かしてから食べようか」
誠はコンロに火をつけた。
「少しここに置いてくれないかな」
「いいに決まってるよ。あなたくらいは養えるから」
「仕事することにしたから・・・」
「どんな」
「建築関係」
「外仕事か、これから寒くなるから大変だよ」
「寒いのには慣れているから」
「力仕事出来るの」
「頑張ってみる」