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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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雨闇の声 探偵奇談1

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たたずむは




「すごかったね、須丸くん」
「かっこよかったー。超綺麗な射形だよね」
「おまえ経験者だったんだなー」

モップをかけながら、一年生は瑞の話題で盛り上がっている。経験者と聞いていた郁でさえ、彼の射には目を奪われた。初心者の郁でもはっきりわかるくらい、瑞の射は美しかった。矢を離す瞬間がわからないくらいの自然な離れ。部員の誰もが息を呑んだと思う。

(すごいなあ。同じ一年生なのに)

当の瑞はといえば、そんな話には興味がなさそうに雑巾がけを続けている。胴着姿も板についていて貫禄があった.

一年、と主将の硬い声が響く。

「はい!」
「今日の鍵しめ、誰だっけ」
「あの、わたしです」

郁は手を挙げる。

「戸締りやら見回りの仕方、須丸に教えてやってくれるか。これから当番回るようになるから」
「はい」

制服に着替え終えてから、瑞を連れて道場を回る。鍵の確認、用具がきちんと片付けられているか。一通り確認しながら、伝えるべきことを瑞に教えて回った。

「ちなみに七時までに職員室に鍵かえして帰るのも規則。遅れたら怒られるんだ」
「だからみんなさっさと帰るのか…」

道場には、郁と瑞だけだ。最後に電気を落として鍵をかける。雨足は強く、外は真っ暗だった。