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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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雨闇の声 探偵奇談1

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もとめるは



夢の中で誰かと話した。思い出せない。すごくいい感じに懐かしい夢だったのに、一瞬で忘れてしまった。

「…うーん」

夢を再生できる道具ができないものかな、とベッドに起き上がって半ば本気で思う瑞だった。幸福な夢だったことは余韻でわかるのに。

(晴れてるのか)

カーテンの向こうが明るい。立ち上がって窓による。開け放った窓の向こうには、梅雨明けを思わせる眩しい青空が広がっている。

「じいちゃん、おはよう」
「おう、おはよう瑞」

相変わらず祖父は早起きだ。今朝もほかほかの朝食がちゃぶ台に並んでいる。感謝して手を合わせながら、瑞は祖父に尋ねた。

「じいちゃん」
「うん?」
「…初めて会うひとを、すごく懐かしく感じるって、どういうことなのかな」

自分でわからない。どうしてそんな感傷を、初対面のあの先輩に抱くのか。

「そりゃ、会ったことがあるってことじゃないのか?忘れてるだけで」

普通に考えればそうなのだが、瑞は納得できないのだ。だって。

「そんな大事だったひとのこと、忘れちゃうもんなのかなあ」

それって矛盾しているじゃないか。そう口を尖らせる瑞に、祖父は優しいまなざしをむける。


「大事だった、ひとなのか」


言われて気づく。無意識に使った言葉だったけど、そう。そうなのだ。

「…うん、」

ああ、そうだ。あのひとは大事なひとだった。