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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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雨闇の声 探偵奇談1

INDEX|20ページ/34ページ|

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ざあざあと降る雨に、ローファーにまで水がしみてきそうだ。やっぱ長靴でも履いてくればよかったか。

「なー三年の教室にもさ、水たまりできてたってよ」
「なんか雨漏りじゃないかって、せんせーら点検してた」
「雨漏りじゃないよな、いきなり水たまりできたんだもんよ」
「足音聞いたしな」

学校で起きた不可思議な話題で持ちきりだ。瑞はそれに適当に相槌を打ちながら、今朝廊下で見たあの濡れた水の跡を思い出していた。あれは雨漏りなんかじゃない。

(先輩が言ってた。ここは古い土地だって)

そしてそれは時折影響を及ぼしてくるのだと。
ならばいま学校で起きている一連の不可思議な事件も、この場所に潜む人間ではない何かの仕業ということになる。

「学校の怪談的な?」
「レトロ―」

友人たちが快活に笑う。高校生にもなれば、当たり前の反応だろうと思う。しかし瑞は知っている。平和なごく普通の毎日の裏側に潜む影があることを。

「あ、須丸くん!」

正門を出たところで呼び止められた。

「一之瀬?」

一之瀬郁が、悲壮な顔をして立っていた。ビニール傘は役に立っておらず、彼女の肩のあたりはしっかりと濡れていた。

「どーしたの」
「懺悔を聞いてほしいんだけど…」

懺悔?

「一之瀬~おまえなにしたんだよー」
「うっさいなあー!あたしは真剣なんだってば!」

何事だろうか。大爆笑する友人らを先に帰らせて、雨よけに昇降口まで戻った。