小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

雨闇の声 探偵奇談1

INDEX|19ページ/34ページ|

次のページ前のページ
 


「先輩」

ふいに声をかけられる。ぼんやりしていたのでびくりと肩を震わせてしまった。

「俺を知ってる?」

雨を縫って届く声は、かぼそく不安げだった。まっすぐに見つめてくる瞳には戸惑いのような、困惑めいた色が浮かんでいる。

「どこで会った?俺は…忘れているみたいで」
「……」

同じ感覚を抱いていたというのか。では互いに本当に忘れているだけで、いつかどこかで出会っているというのか?
それにしてはこの感情の深さは何だろう。こんなにも懐かしく思う相手を忘れているというのは解せない。しかも互いに?

そして何よりも。

「さあ、人違いだろ」

伊吹自身は思い出すことを猛烈に恐れている。考えてはいけない。思い出してはいけないと、頭ではなく心がずっと警告しているのだ。伊吹はそれに従う。この再会は、あってはならないことではないのかと、そんな予感めいたものがはっきりと自分を恐れさせるから。

「人違い…そうかな?」

背を向けても、瑞の声は問いかけてくる。

「俺は絶対、間違えないと思うんだけど」

聞こえなかったふりをしてやり過ごす。まっすぐに目を見られない。思い出してしまいそうだから。

「お疲れ」

それだけ声をかけて、伊吹はその場を離れた。罪悪感のようなものに胸が痛むのは、気のせいだと言い聞かせながら。