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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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雨闇の声 探偵奇談1

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ベチャ


「…?」

静寂を破って、突然音が聞こえた。教室中がそれにあわせ、顔をあげる。

「…何かしら今の」

英語教師が眉を顰める。静かだった教室に、さざ波のように生徒たちの囁きが広がっていく。薄暗い教室、雨の音。静かに、違和感が満ちていく感覚。


ベチャ

ベチャ

ベチャ

廊下からだ。濡れた雑巾を床に落としたような音が、長い感覚を開けながら響いてくる。まるでそう、全身を濡らした者が、さ迷い歩いているような。そんな情景を想像していまい、郁はぞっと背筋を泡立てる。

「誰?」

教師が扉を開け、廊下を覗き込む。そのとたん、見計らったかのように音がやむ。しん、とした、不自然な静寂。

「誰もいないわ…なんだったのかしら?では続きを」

首を傾げながら教壇に戻ってきた教師が教科書を開いて再読しようとしたとき。


ベチャ


ぴん、と教室の空気が凍り付いた。

ひっ、と誰かが悲鳴をあげたのをきっかけに、静寂が崩壊する。廊下側の生徒らが立ち上がって窓際に殺到する。教師もまた青ざめてあとじさった。瑞が乱暴に廊下の窓を開け放って外を覗く。音が、またやむ。

「ヤダー」
「何なの」

郁は立ち上がって瑞の後ろから廊下を覗く。誰もいない。薄暗い廊下にはサーと雨の音だけが響いているだけだ。あの音は何だったのだ?クラス中全員が聞いている。

「一之瀬、見ろ」