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流星群

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ボクは、こっち。キミは、あっち。それぞれに車のドアを開けて車外に出たのに、車のフロント。ボンネットの前には寄り添ったボクとキミが立っていた。
車に腰を凭れかけ、見上げる夜空には、満点の星。(字で言うなら間違っていない)満天というにはボクの目はすべてを見つけられていないけれど、素晴らしく好い星空をみることができた。
さっきまでの雲は何処へ消えたのだろうか。きっとあの時、キミの笑顔の魔法でポン!と消えたとしか考えられない。海面は揺らめいて星は映してはいないけれど、その明るさは、充分に海の表面を照らし、波を煌めかせて見せてくれていた。
「何か願い事はあるの?」
ちらりとボクを見たキミは、また空を眺める。
「なんだよ。お願い事するの?」
またちらりとボクを見てキミは、また空を眺める。
ボクも空を眺める。
「「流れた!」」
同時に発した声と見つめ合ったボクとキミ。流れ星は、ボクの一番の願いを叶えてくれる。
くちばしを合わせていた。(お恥ずかしい…)
キミは、車からやや駐車場の柵のほうへと向かう。岬から見える海が広がって、空まで広がったように感じた。
「危ないよ。気をつけて」
案外、ボクのほうが危なっかしいくせに 恰好つけたいのは男だからかな。

それから、しばらくは星が幾つも流れるのを観ることができた。そのたびに繋いだ手に力がはいる。同じ願いなのかは 言葉にしないと確かめられないけれど、同じ願いだと思い込んでいるボクだった。何度かキスをした。星がなかなか流れなくて待ちくたびれてもキスをした。流星を見逃しちゃったかもしれないけどキスをした。
きっと流星群が呆れるくらいキスしているに違いない。それでもいい。
嬉しい瞬間が何度でも今夜のボクとキミにあればいいよね。

作品名:流星群 作家名:甜茶