先輩
リンのお母さんは、私が風邪を引いて学校を休んだだけでもリンは不安になってしまうと言っていたはずなのに、近くで私がベッドに横になっているのにもかかわらず、様子を見に来てもくれなかった。不安になるってことは、心配もしてくれているはずだ。心配だから不安になるんじゃないのだろうか。それなのに、どうして……。
よっぽど何か忙しいことをしているのだろうか。それでも様子を見るのなんて、一分も掛からなくて済むはず。むしろ心配をしてくれているなら、忙しくても私の元に来てくれるのがいつものリンだ。
単なる私の思い込みなのだろうか。瞳からは再び涙が止まらなく流れ出た。
私が隠し事をしている時のリンの立場も、こんな気分だったのかもしれない。
――自業自得か。
私が馨先輩を好きになってしまったせいで、リンも、ともちゃんやあけみも、馨先輩本人ですら、離れていってしまったような気がする。
人を好きになるのが、こんなに辛い事だなんて。
涙がいつ止まったのか分からないまま、私はいつの間にか眠りについてしまった。