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先輩

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   ※

『先輩! お返事アリガトございますです! 今日は先輩が返事くれるかどうか、気になって気にキニなって、勉強も部活も全然集中できませんでした!勉強は普段から集中してませんけど(ワラ)。
 (中略)
 実はですね、2,3日前に『けーえるでぃー』っていう団体が出来て、リンゴとみーちゃんもその団体の一員なんですよ♪ 団体の名前の意味は、えーと……なんだったか忘れちゃったんですが、なんだか秘密結社みたいにかっこよくて嬉しいです! 先輩も仲間に加わってくれたら、とっても嬉しいです』 
『先輩、あの……お願いがあるんですが、お暇だったらでいいので、先輩ともっとメールがしたいんです……! 1日1通でもすっごく嬉しいんですが、リンゴはいつもお暇ちゃんだから、物足りなくて……。それに学校ではみーちゃんがいるからいいんですが、家に帰るとリンゴは姉妹もいないから、すごく寂しいんです。今みたいに長文じゃなくていいので、お願いできませんでしょうか? お返事、待ってます♪」
 
 ――四月十六日 今日はみーちゃんが不思議な事を言っていました。なんだかワケありなみたいで、うちで遊ぶ時がドキドキです。
 勝手な推測ですが、たぶんみーちゃんが話そうとしてる内容は、カオル君のことではないでしょうか。もしそうだったら、ちょっと複雑な気分です。だってカオル君は――
 (後略)
 
『先輩……最近みーちゃんが何だか隠し事してるみたいなんです。もしかしたらみーちゃんも先輩とメールしてるのかも!? そしたらリンゴ、相手がみーちゃんでも嫉妬してしまいます! だってリンゴにとって先輩は……いえ、なんでもないです!」
 
 ――三月●日 今日は病院に行ってきました。薬をたくさんもらいました。最近は快適人生だったのに、どうしてなんでしょう。
 ここの病院でもらうお薬は、どれもフラフラしたり、ボーっとしたり、眠くなったりして嫌いです。
 でも、飲まないとお母さんが心配そうな顔をするので、いつも飲んだフリをして、ポケットにしまい、部屋に戻ったら巾着袋に入れてしまいます。そうやってたまっていった薬の数は、これで一合のご飯が炊けそうなくらいあります。ちょっと大げさに書きすぎました。でも、半合くらいはあるんじゃないでしょうか。
みーちゃんや先輩がこのことを知ったら、どう思われてしまうのでしょう。
(後略)

『先輩、夜遅くにメールしてすいません。今日はみーちゃんが家に遊びに来ました。みーちゃんは、どうやら本当に隠し事をしていたみたいなんです。ちょっと最初はショックでしたが、頑張って全部白状してくれました。でもリンゴは正直に言うと、ショックでした。
(中略)
先輩は何か秘密とかありますか? まぁあってもしゃべらないから秘密だと思うんですが(ワラ)。でも……先輩が、リンの事を信頼してくれてるなら、言って欲しいです。
 リンゴは、まだ先輩とメールをし合っていることを、みーちゃんに言っていません。これももしかしたら隠し事になってしまうのかもしれませんが、リンゴはちゃんとある目的を果たしてから、みーちゃんに伝えようとおもっているのです。
 みーちゃんは、恋をしていたんです。好きな人が出来たって言ってました。そこでリンゴは来週告白したほうがいいヨ! とアドバイスしてあげたのです。
 でも、偉そうなことを言っておいて、リンゴはどうなのでしょうか?
 先輩は気付いていましたか?
 こうやって毎日メールをしてもらっているのも、リンゴにとってはある目的を達成するためなんです。
 その目的というのは――、先輩と付き合うことなのです。
 (後略)
 

 
作品名:先輩 作家名:みこと