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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 10

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同化




夜明け間近に鳴る電話は、不吉な予感を連れてくる。診察室のソファーに横たわっていた野上は、テーブルの携帯を掴んで目をこする。まだ五時を過ぎたところではないか…。

「…清瀬さん?どうしたの?」
『須賀くんがそちらに行っていませんか?』

いつも眠そうで抑揚のない声に緊張が混じっている。ただごとではないと、野上は瞬時に悟った。

「ここには来ていないけど…どうしたの?」
『いなくなった』

いなくなった…?

「な、なんでですか」
『わからない。篠塚芽衣の逮捕で昨夜だいぶ参っていたから…なにか衝動的な行動にでそうで』

清瀬の声が緊迫している。なにか嫌な予感を抱いているのだ。

『そっちにきたらすぐに連絡をください』

それだけ言って、清瀬は通話を切った。ざわざわと胸が鳴る。なぜ、どうして彼は消えたのだ。

「まさか、武長のところじゃないでしょうね…」

記憶を取り戻した旭が、そしてそれに影響された人格たちがどんな行動に出るか。それは予測もつかない。



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作品名:慟哭の箱 10 作家名:ひなた眞白