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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 9

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出頭します、と芽衣は清瀬に告げた。泣きはらしたであろう目のふちは赤く、しかし憑き物が落ちたように穏やかな表情を浮かべている。ようやく解放されると、そう思っているのかもしれない。

「須賀夫妻を殺したのはわたしです。旭への虐待の件をちらつかせて呼び出しました」

罪を告白する彼女の手を、隣で旭が強く握りしめている。うつむいて、くちびるを噛みしめたまま。

「遺体を損壊したもの、わたしです。油断したところを石で殴打した後、死んだ二人を見て怒りがこみあげてきたんです」

これは旭のぶん。
これは一弥の。涼太の。氷雨の。真尋の。

自身の感情を抑えることができなかったと、彼女はそう続けた。

「旭は…一弥は、指一本触れてない。わたしが一弥に計画を持ちかけて殺しました。許せなかった…」

どこまでが真実かは、これから精査されて明らかになるだろう。

「芽衣が罪人なら、そうさせたのは俺だ。俺も同罪です。罪を償います」

旭が言うのを、芽衣が制する。

「違う。清瀬さん、旭はひとつも罪なんて犯してない!全部わたしがしたことなの!」
「芽衣!」
「旭は幸せにならなきゃだめなの!」

芽衣の叫びに、旭が言葉を飲み込むのがわかった。

作品名:慟哭の箱 9 作家名:ひなた眞白