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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 8

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「…わたしは逃げたんです。助けてっていう声を確かに聴いたのに。それがわたしの罪なの…あのとき助けてあげられたら…」

あの子を置き去りにした。

「誰もきみを責められない」

清瀬の声は、罪を裁く審問官のものとは程遠い、静かで柔らかな声だった。差し出してくれたハンカチからは清潔な石鹸の香りがする。

「つらいことを思い出させて、すまなかった」

芽衣はかぶりを振る。どんなに庇われても、罪は罪だ。弱かった自分を言い訳にできるほど、芽衣はもう子どもではない。それでも、優しい声が嬉しかった。

「…もう一つ、いいかな」

清瀬は最後に問うた。

「一弥が次に復讐しようとしているのは、誰だい」








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作品名:慟哭の箱 8 作家名:ひなた眞白