慟哭の箱 8
「清瀬さん、俺も芽衣に会わせてもらえませんか?会いにいったんでしょう?」
旭が疲れ切った声で言う。
「……」
「両親の死の真相は、芽衣が知っていると思うんです。一弥は彼女と接触していたみたいだから」
わかった、と承諾しながらも、果たしてそれが正しいことなのかどうか、清瀬にはわからなくなっている。彼女と旭が会うことで、決定的な何かが破綻してしまうような嫌な予感。だが、事件の解決に向けては不可欠なことでもある。
「……」
清瀬が考え込んでいるうちに、旭は糸が切れたように眠ってしまった。毛布を取ってきてかけてやる。
(あの声…)
一弥の叫びが耳から離れない。
あれらの言葉は裏を返せば、愛してほしい、助けてほしいという願いに他ならない。
突き刺さるような声を反芻しながら、夜が明けるのを待つ。
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