慟哭の箱 7
真尋とも接触しているのか…。他人にその存在が知られているということは、一弥の支配が緩んでいるのかもしれない。旭の中で、何が起きているのだろう。だけど、こちらから一弥に連絡することは禁じられている。どうすればいいのだろう。この刑事に話していいのか?ぐるぐると思考が回っていく。
「平気か」
震えていた手に、大きな手が重なり我に返る。冷たい手だった。目が覚めるような。視線を上げると、穏やかな目があった。
「…はい、ええ。大丈夫」
「つらければ、今でなくてもいい」
話せば楽になるだろうか。
「…話します」
そうすることで、旭が救われるのなら。
わたし自身が救われるのなら。
わたしの罪を。
あの日、旭に背を向けて逃げた自身の罪を、償うことができるのならば。
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