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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 7

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隠された箱の中で、一弥はそれと向かい合っていた。向かいに座る「彼」の姿は暗がりに見えない。黒いブーツの足元だけが見えている。

「一弥とやっと話ができるね」
「……」

こいつは誰だ。自分が把握しない人格が潜んでいたとは知らなかった。自由にスポットに立てること、支配人格である一弥でさえも、こうして任意に呼び出すことができること。それらから想像できるのはただひとつ、この目の前の正体不明の人格が、一弥よりもさらに上位に立てる力を持っているということだ。

七番目であり、ゼロ番目であると彼は名乗った。

「おまえは…いつ生まれた人格なんだ?一体いつから…」

ずっといたよ。目の前の暗がりから、そんな答えが返ってくる。機械のように抑揚のない声。

「旭が生まれたときから、いたんだよ。きみたちの目には見えないところで」

何を言っているのか、一弥には理解できない。

「痛みを返して」

ブーツの男は穏やかに続ける。

「旭はもう、何もできない子どもじゃないよ。清瀬さんや、支えてくれるひともちゃんといる」

だめだ、と一弥はかぶりを振った。

「なぜだめなの」
「…なぜって、」
「すべてを克服して旭が幸福になる。それがきみたちの究極目標ではないのかな」

そうだ。その通りだ。そのために一弥たちは生まれた。

作品名:慟哭の箱 7 作家名:ひなた眞白