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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 7

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清瀬の目が、穏やかな中に刑事の鋭さを含み始める。芽衣は全身を緊張させた。

「では」

清瀬の声が、低められたように感じる。

「あなたは、彼の中にいる他人格とも接触していますか?」

芽衣は今度こそ、衝撃を飲み込むことができなかった。

「…うそ、どうして」

どうして知っているの…?

「わたしはいま、わけあって彼の身柄を預かっています。一緒に生活している中で、彼の記憶や行動に多くの疑問を覚えたんです」
「…そんなはずない、なんで一弥は許したの…?」

絶対に他人に知られてはいけない秘密の一角が、崩れている。芽衣はそれを悟った。
もう、逃げられないということも。

「…知っていることを教えてもらえないかな」

くだけた口調は、恐慌をきたしている芽衣を落ち着かせるためだろう。柔らかな声だった。

「彼が幼少期、心を分裂させてまで逃げようとしたものがなんだったのか」
「…一弥は、なんて?」

一弥。一弥は、この事態を把握しているのか?彼の指示を受けてはいない。どうすればいいのか、わからない。

「一弥は話すことも心を開くことも拒んでいる。俺が持っているのは、真尋から聞いた情報だけだよ」

作品名:慟哭の箱 7 作家名:ひなた眞白