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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 6

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「だってわが子だもん。愛してるのは当然でしょう?」
「でも…俺は、殺人犯の、子でした…。俺には罪人の血が流れてる」

咎を持った子を、他人の子を、どうして。
清瀬ならできるだろうか。
自分を、須賀旭を、許して抱え込んで、支えていくことができるだろうか。

あのなあ、と呆れたように父が言う。

「おまえ、目の前ですっころんで泣いてる子がいるとするだろ」
「……?」
「その子の親は、世界中を灰にした核兵器のボタンを押した人間だとする。おまえどうする?蹴っ飛ばして石つぶて投げるのか?」

清瀬の脳裏に浮かんだのは。
幼いときの自分自身だった。どうして俺だけ。繰り返し己の運命を呪い続けた自分自身。

「助け、ます…」
「そうだろ?」

だってその子に罪はないじゃないか。
幼かった清瀬にも、罪なんてなかったじゃないか
罵られる罪などない。石つぶてを投げられる罪など。
どうしようもなかった。どうしようも、なかったんだ。

作品名:慟哭の箱 6 作家名:ひなた眞白