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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 6

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昼からは、母を手伝って過ごした。庭の草むしり。雪が降る前の雪囲いの準備。とりとめのない話をしながら過ごす時間は穏やかで、清瀬を癒してくれた。日々たくさんのことに追われ、こんな穏やかな時間を過ごすのは久しぶりのことだった。

色づく山の美しい色彩。小高い山の畑から見る、美しい海。そのどれもが優しかった。

そういえばこの町にきて、雨が降っていないことに気づく。秋晴れの空の下で汗を流すと、あっという間に日が暮れていった。




夕刻、父が戻り夕食が始まった。テレビでは天気予報が流れている。談笑しながらそれを眺めていた父が、唐突に切り出した。

「で、何かあったのか?」
「はい?」
「おまえがここに戻ってくるなんてよっぽどだ。迷っているのか悩んでいるのか知らんが…俺たちは親だからお見通しだぞ」

そう言うと父は夕刊から顔を上げて、清瀬を見て笑った。

清瀬は固まる。そして覚悟を決めて問う。
ずっと心に渦巻いていた不安を。

「…父さんと母さんは、どうして俺を愛してくれたんですか」

えっ、と両親は目を丸くした。深刻な話を切り出したつもりだったが、二人はそんなことか、とでもいうように笑みを浮かべて答えた。

作品名:慟哭の箱 6 作家名:ひなた眞白