小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

そらのわすれもの6

INDEX|7ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

「裏切るって…。」
優太は美紗が不安がる理由が分からず、美紗を見る。
「知秋は、これ以上人に離れられたら壊れちゃう。」
訴える瞳はとても真剣で、優太は美紗が知秋の事を自分よりもずっと真剣に考えているのだと感じた。
「これ以上?」
優太が聞くと、美紗は頷く。
「これ以上よ…英語の風間が前に知秋に下手に手を貸して、結局放置して、あれから知秋は更に笑わなくなった。」
悔しそうな顔で言う。優太はさっきまで会っていた琴恵の姿を思い出した。偉そうな顔で、胸を張って教壇に立って、授業をしていた。確かに琴恵と知秋には妙な空気が流れていた。琴恵は知秋のことについて、何か知っている可能性が高かった。自分よりも赤点を採った知秋を残さずに家に帰していた。それはとても不自然だった。琴恵は何かを知って、知秋から離れた。きっと知秋はそれに傷付いたに違いなかった。知秋の正体がバレた時の反応を思い出す。
「もう、私は思い詰めていく知秋を見たくない。」
美紗はうつ向いた。少し目から涙が溢れおちる。優太は胸が詰まった。知秋の正体を知っていても知らなくても美紗は、知秋をよく理解している。
「分かった。」
優太は美紗の肩に両手を添えると伝えた。
「知秋を悲しい気持ちにさせないようにする。」
美紗は驚いて優太を見る。安心した気持ちと不安で仕方がない気持ちが入り交じる。
「先のことは分からない。でも、俺がもし、知秋と今みたいに頻繁に話さない日が来ても…。」
「それじゃ駄目だよ!」
あっという間に美紗の安心感は消え、美紗は叫んだ。優太は少し驚いたがもう言うことは決まっていた。
「誰と仲良くするかは知秋が決める事だと思うよ。」
美紗は黙り混む。気に入らないけど、何も言えなかった。美紗は何も知秋のことを分かっていない。一番何について思い詰めているのかは分かっていなかった。優太は少し声を和らげ続けた。
「今みたいに頻繁に話さない日が来ても平気になれるようになるまで俺は知秋の側にいるよ。」
そう言うと優太は美紗と別れた。