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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの6

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「うん、怖かったから。それでも、あなたが知秋ちゃんと仲良かったから私は話していたけど、あなたは知秋ちゃんを傷つけた。ごめんなさい、あなたとあまり話したくない。」
知春は伝えると、琴恵から離れようとそそくさと歩き出した。琴恵は、その姿に何となく竜也を思いだし、嫌悪感が湧いた。しかし、思い直して呼び止めた。
「1つ聞いていい?」
知春は振り向く。
「随分楽しそうにしているね。何かあるの?」
「うん。優太くんが最近よく来てくれるから。毎日がとっても楽しい。」
知春は編み込んでいた髪を持ち上げて嬉しそうに微笑んだ。
「それ、自分でやったの?」
琴恵が編み込みを指差し聞くと、不思議そうな顔をして知春は答えた。
「これ難しいの?お父さんに習って昔からできるよ?」
「そう…。」
琴恵の表情が一層暗くなった。知春のあっけらかんとした表情が更に竜也を思い出させた。
知春は会釈だけすると、すぐに人混みに入って見えなくなった。
「面白くない…。全部、駄目になってしまえばいいのに…。」
琴恵は恨むように知春が消えた方を見ると、小さく呟き、鞄を握りしめた。
こんなにも街は賑わいを見せていたのに彼女のその様子を気にかける人は誰もいなかった。