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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 4

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「渡していい情報はわかっているな。余計なことまで喋るなよ」

それに答えたのは、スニーカーの足元だった。

「…わかってるってば。一弥(いちや)の言う通りにする」
「ならいいが」
「でもさ、俺も涼太の言うように、刑事さんは信頼できると思うけど?」

その言葉を、一弥と呼ばれた男が、沈黙でもって両断する。

(刑事って、清瀬さんのことか?)

混乱する旭の耳に、再び一弥の冷たい声が届く。

「大人は信用しない。あの刑事も、きっと裏切るに決まってる。ここにいる者以外を信じるな。安っぽい優しさに惑わされ、旭や俺たちを危険にさらすようなことになったら、迷わずおまえを切り捨てる」

突き放す言い方。選択権を与えない、支配者の言葉だった。わかったよ、とため息交じりの真尋の声。

真尋が椅子を軋ませて立ち上がったとき。

「!」

突如目の前に、スポットライトのような光があたり、空間が照らし出された。輪になって並ぶ椅子の中央に、一脚だけ椅子が置かれて、そこにだけ、スポットライトが当たっている。周りの椅子も鮮明に見えた。座っている足元も。だが顔は暗くて見えない。座っているのは、旭を含めて6人。

立ち上がっているのが真尋だろう。彼はスポットライトの下に立ち、中央の椅子に座った。旭からは彼の背中しか見えない。明るい色の髪が揺れている。

「じゃー行ってくるね」

真尋の声を聴いた後、旭の意識が遠のいた。





作品名:慟哭の箱 4 作家名:ひなた眞白