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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 4

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「なんとかならんのかね」
「なるもんならやってる。でも、あの子の中にある不安の根っこは想像以上に深い」

事件を解決したい気持ちは野上とてわかる。世間の注目も高いし、市民も不安の中にあるのだ。だが一人の医師としてあるのは、あの子の根っこを掘り下げて、そこに巣食うものを取り除き、健全に空へとのびていくように助けたいという願いだけ。

「清瀬のやつも入れ込んでてなあ…今日はさすがに現場に呼び戻されとるがね」
「…あの刑事さんって、どういう経歴の人間なんです?」
「は?」

秋田は不思議そうに眉根を寄せる。

「…入れ込むっていうより、すごい執念を感じるんです。清瀬さんから」

ふうん、と秋田は腕を組む。

「俺もあいつと組んでるわけじゃねえし、でも古参の連中の間では有名だな。本庁の刑事課のエリートだったんだ。いろいろあって、左遷させられたっていうけど」

いろいろ?警視庁の人間が地方の本部にとばされるなんて、何があったのだろう。

「取り調べ中にぼこぼこにしたらしい。子どもを虐待死させたあげく、遺棄したバカ親をさ」
「は?」

あの穏やかな清瀬が?

作品名:慟哭の箱 4 作家名:ひなた眞白