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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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慟哭の箱 1

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「おはよおごじゃいます・・・」

徹夜のまま、病院から直接職場へ向かうと、同じく寝不足の沢木がふにゃふにゃ挨拶をくれた。

「沢木、少しは眠れたか」
「じぇんじぇん・・・清瀬さんは病院にいたんスか」
「うん」

結局、なんの情報も得られず、旭に会うことも叶わなかったが。

「清瀬さんは、どうしてそこまでこの事件を――」
「おい清瀬」

沢木の言葉に被せて、班長の声が届いた。

「おはようございます」
「おう。一課の秋田からの要請で、おまえを朝霧山殺人の捜査に加えることになったそうだ」
「は?」
「なんでも重要参考人が、おまえをご指名らしいぞ」

旭が。

「しかし、こっちはよろしいのですか」
「沢木に二人分働いてもらう。行ってくれるか」
「勿論です」

願ってもいない展開だった。これであの事件を公に捜査できるというものだ。

「本庁でのおまえの活躍を聞いているから、上も期待してるんだろう」
「・・・・・・」

とにかく病院に向かわねばなるまい。清瀬はコートを羽織ると沢木に手を合わせる。

「そういうわけだから、すまんな沢木」
「しゃーないですね。今度奢ってくださいよ」
「喜んで」

署を飛び出し、病院へ向かった。



作品名:慟哭の箱 1 作家名:ひなた眞白