小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

「スカウトなんかしてないよん♪♪私がハルくんも生徒会のメンバーだよ～って教えてあげたらアミーナちゃんも是非手伝わせてくださいって言ってくれちゃったからお姉ちゃんはいいよ～♪♪って許可しただけだよ♪♪」

「え、それは本当ですか？！」

驚いた俺は姉さんに真偽を訊ね、それから思わず反射的にミナに視線を向ける。

「…あはは。本当です、ヒナちゃん」

いつもの向日葵笑顔と大きくかけ離れ、曇り笑顔で苦笑いを浮かべるミナ。

「…そうなのか。でも何でまた生徒会に入ろうだなんて思ったんだ？」

当然の疑問をミナに訊ねる。…俺の記憶が正しければ絶対自ら生徒会に志願しようなどとという考えに至るはずが、っていうかあるわけがない。何度考えてもな。すると、ミナは頬をほんのり赤らめてもじもじ照れた仕草をしながらゆっくりと口を開く。

「…あの、その…、少しでもヒナちゃんのお手伝いが出来たらって思って」

照れてるのか恥ずかしがっているのか小声で聞き取りにくい思わず聞き逃してしまいそうなくらい小さな声でミナはそう言った。

俺の聞き取りが正しければミナは確か俺の手伝いが出来たらと言ったはずだ。
でも、一応もう一度ミナに確認しておいた方がいいだろう。

「俺の手伝い？？」

「はい。ヒナちゃんはいろいろ大変なことだらけなのに負けずに頑張っている。学校のことも、それに『あのこと』も…。だから、私は、何か何でもいいからヒナちゃんのお手伝いをしたいと思ったんです。ヒナちゃんにずっと助けられてばかりの私だから…。それがヒナちゃんのために手助けになるかわかりません。でも、改めてお願いします。私にも生徒会、そして、ヒナちゃんのお手伝いをさせてください」

じっと真剣な眼差しで俺と姉さんを見つめるミナ。
しかし、そんな空気を一気に忘れさせてしまうように姉さんがふにゃ～ん化とした顔で電光石火の如く素早い動きで接近し、そしてミナをぎゅっと抱きしめる。

「あらもう～ミナちゃんったら可愛いこと言ってくれちゃったりしてくれて♪♪こんなに健気で直向きな眼差しで見られたらお姉ちゃん嬉しくてもうたまんないよ～♪♪ホント、いい子さんだねミナちゃんは♪♪よしよ～し♪♪」

「…え、あの、会長さん…恥ずかし…あわぅ」

ミナは姉さんによってまるで我が子のように猫可愛がりに頭を撫でたり、何度もぎゅっと抱きしめたりしていた。

「会長さんだなんて～お姉ちゃんって呼んでくれちゃっていいよ♪♪えへへ～♪♪」

「あの、その…あぅ」

もやはこうなった姉さんはどうやら俺の手には負えないようだ。何せそこに既に体験済みの例がちょこんと座っているからな。…すまんな、ミナ。

「ん？何だその哀れむような目は？気に食わん」

俺の視線に気づいたのかヒカリはお茶を飲むのを止め、俺を睨みつける。

「いやな、ヒカリもさっきあんな風に姉さんに可愛がられたんだなって思ってな。そしたらな、まぁ何かこうすまなかったなって」

「何だそんなことか。まぁ確かにあれはもう私も勘弁してもらいたいものだ。そう貴様の姉に言っておけ」

思い出したのかむすっとした顔で俺に言いつけてくるヒカリ。

「言っておいてもいいが、無駄だと思うぞ」

何せ『姉さん』だからな。そんなこと言ったら余計に可愛がるに決まっている。

「…そうかもしれんな」

俺の表情で察したのか肩をすくめ、諦めるかのようにため息をつきながらそう口からやれやれ口調でそう洩らす。

「しかし、アミーナが貴様と同じ生徒会とやらに所属することになるとはな。私もウカウカしてられんな」

「ん？何か言ったか？」

今、何かしゃべっていたような気がしたが。

「うむ、そうだな。そうするのが得策だな」

ヒカリは独りでうんうんと何かを納得しているようだった。…一体、何を納得してるのだろう。

「よし」

訊ねる暇もなくヒカリは、猫化されているミナと可愛がることに情熱を注いでいる姉さんのところへぱたぱたと駆けていった。…何だろう。いやな予感がする。ミナを可愛がる姉さんの目の前に立つと、何やら姉さんに何かを告げる仕草があったかと思うとヒカリも姉さんに抱きしめられ二人仲良く姉さんのお気に入りリストに迷うなく登録されたようだった。

…一体、今、何があったんだ？？いやな予感がするため聞きたくないが気になる。
しかし、目の先に起きていることから、そして、その未知なる状況把握から目を逸らし逃げていてはこの雛月春斗、男が廃るってもんだぜ。そう自分でもわからない決意を露にし、もはやアリ地獄のようにミナとヒカリを逃がさんとばかりにぎゅっとしている姉さんのところにゆっくりと歩みだす。

「…姉さん、ちょっといいですか？」

俺は普段じゃそうそう見れないくらいの真剣な顔で姉さんに話しかけた。

「はいはい～♪♪なんだい、ハルくん？？」

ご機嫌度ＭＡＸの極上スマイルで姉さんは俺の方に視線を向ける。
うぅ…相当ミナとヒカリが気に入れられたみたいだな。もう二人とも撫でられたりぎゅっとされたりで乱れてるし。

「大変申し訳ないんですが、二人を可愛がるのはその辺にして、状況を説明して欲しいんですが」

そう言うと、姉さんはぎゅうぎゅうと抱きしめている二人を見て、そして、にこっと微笑んで大きく撫でると、二人をやっとのことで解放し、俺に向き直った。

「そうね。このままずっと可愛い可愛いしてあげたかったけど例の準備もまだ終わってないことだしこの辺にしちゃっておこうかな♪♪それで、どうしたのかな～ハルくん？」

「いや、さっきヒカリと姉さんが何やら話していてそれで突然、姉さんの可愛がりモードが発動したんで何があったのかと思いまして」

「あぁ～♪♪そのことね、それが聞いちゃっておくれよ、ハルくん♪♪」

再びにっこり満天の会長スマイルを浮かべ、話したくて仕方がないって感じでむずむずする姉さん。…その笑顔は俺の感じたいやな予感が確信に変わりそうなのは気のせいか？？

「聞いて驚け～！！じゃじゃーん！！ヒカリちゃんも生徒会に志願しちゃうって言っちゃったんだよ♪♪」

「…………………は？？」

姉さんが放ったその言葉により俺の思考が完全に凍結、フリーズモードに陥った。
何を聞いたかって？ヒカリが生徒会に？なぜ、どうして、何故に？？
どう間違えればそんな思考に発展するんだ？もしやヒカリさん、さっき変なモノをお食べになりましたか？？

俺の思考異常暴走でオーバードライブを起こしているのを尻目に、姉さんは続ける。

「ホントいい子だよね～ヒカリちゃんもミナちゃんも♪♪これじゃ例の企画やらなくても万々歳しちゃうよ～♪♪」

姉さんは喜びのあまりバンザーイっと声高々にして微笑んでいた。
…しかし、何ということだ。ヒカリまでもが生徒会に加わってしまうとは。
…ってちょっと待てよ。さっきから姉さんと凍弥の言う例の企画って一体何だ？？

ようやく思考が回復し始めてきたのか他のことにも目を配らせることが出来るくらいになっていた。

「姉さん、聞いていいですか？？その例の企画って何です？？」

「え？あぁ…えーと、それは…えへへ～何だろうね～お姉ちゃんわからないなぁ～」