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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   15話   『生徒会主催 花見大会 後編』

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「あらあら♪ハルくんもかえちゃんも相変わらず仲がバッチリちゃんだね。そんなに2人して楽しんだりしちゃって~お姉ちゃんも仲間に入れてほしいな~♪」

何が羨ましいのか指を咥えて、まるで楽しそうに遊んでいるグループを見て自分もその輪の中で一緒に遊びたいのに中々声をかけられないでいる大人しめの女の子を思わせるような仕草だ。…って姉さん俺たち別に楽しんでやってるわけじゃありませんよ。

「まぁまぁ、そう言いなさんなって、ヒナタン。今日は楽しければ何でも万事OKってことでいいじゃないか。せっかくの花見なんだぜ。もっと大いに盛り上がろうじゃないか」

姉さん同様、テンションがいつもよりハイな凍弥がにたにた顔で俺の肩をバシバシ叩いてきた。

「まぁそうだな。お前の言うことはもっともかつ確かなことだと俺も思うぜ。…だが、いつも言ってるがヒナタンは止めろ。そろそろ新しい会則でヒナタン禁止令を作ってもいいんじゃないか?いいかげんに」

このまま野放ししておくとこの妙なニックネームが学園内全土に拡大する恐れがあるからな。それだけは防がなくては。

「ん?あっははは。それは面白そうな会則じゃないか。俺は是非それを発足していく方針でもかまわないぞ。何せ学園の会則書だけに留まらず生徒一人一人の生徒手帳の会則事項のところにもヒナタンが記されるわけだからな」

「…何だって?!」

「うんうん、そうだな。それは素晴らしい案だ。これほど愉快で楽しくて心躍る案はどこを探してもここにしかないかもしれないな。あははは。どうですか、会長?会員春斗君からの新規会則申請案については?」

にやりと不敵な笑みを浮かべた凍弥が姉さんに訊ねると、同じように姉さんも何か悪戯をしようとするときのそんな表情に変貌を遂げ、口元を微笑ませながら、

「うん、ネオン会長さんもいいと思っちゃったりしちゃった♪♪そうだね、私が名付けたヒナタンも学園の皆に知ってもらわなきゃ勿体ないもんね~♪♪うんうん」

姉さんは大きく3回頷くと、まるで名付け親のように誇らしく自慢してるような満足した表情だった。…ってマテマテ。

「はい♪♪…っていうことで~おめでとう!!ハルくん!!ハルくんが申請した案は見事、私、ネオン会長及びお姉ちゃんによって快諾しちゃいました♪♪それじゃトーくん、学園に申請の手配よろしくね~♪♪」

「了解しました。では、早速…」

「ってちょっと待ったッ!!そんな案却下、申請破棄、自主退場だ。そんな案作らんでいいし、申請もこの通り特定の人物に不都合が生じるため俺自ら取り下げる方向に移行することに同意することにしたから」

くそ、甘かった、抜かったぜ。まさかそんな落とし穴があったなんてな。もしこいつら生徒会がそんなもん提唱なんかしてみろ。その瞬間、学園内全土にヒナタンって名が響き渡り、通りすがる度にその名を呼びかけられることだろう。…そんなのごめんだぜ。

「あれま?そう?いい案だったのにな~残念さんだよ」

「そうですね。学園全体が愉快で活気が溢れるいいチャンスでしたのにね」

とか言いながらお二人さん、意味深な不敵にやにや笑みを見せてるのは俺の気のせいか。毎度ながら絶妙なコンビネーションだな生徒会。

「あはは~♪まぁまぁ、冗談はそこまでにしてそろそろ例の準備に移行しちゃおうか♪♪トーくん、よろしくね」

冗談に見えなかったんですが。…って、例の準備って何だろうな??
激しくいやな予感がプンプンとしてきたぜ。

「おっと、確かにそろそろ始めた方がよさそうですね。皆もお昼も食べ終わった頃合ですし。それでは準備に取り掛かるとしますか」

春のそよ風のような爽やか笑顔を浮かべ、凍弥はゆっくりと立ち上がると自分の荷物を持って俺たちのいる場所から離れた向こうの方に歩いて行ってしまった。…一体何をしようっていうんだ。しかも、俺たちが昼飯が食い終わったのがそれとどういう関係があるんだよ。まさか、これが最後の晩餐じゃねぇだろうな。そんなのはごめんだぜ、俺は。頼むぜ、生徒会。

といやな予感が的中しないよう生徒会に懇願の意志を大いに見せる俺を尻目に、姉さんは俺の顔を見るとにこ~っと思わずさっきまでの考えを取り消してもいいじゃないかって思えるくらいの会長スマイルを見せていた。

…っていかんいかん。この笑顔に騙されてはいかんぞ。これのおかげで何回俺が危ない目に遭ったのか忘れたわけではあるまい。きっと…いや絶対この笑顔の裏には悪戯心いっぱい満載のどす黒い感情が隠れていることであろう。そんな思いに耽っていると、向こうに行っていた凍弥が走って戻ってきた。

「何だ?もうその準備とやらは終わったのか?」

「いんや。まだまださ。ちょいとこの準備に必要不可欠な有望なるお姫様とそのお姫様が今回の物資を提供してくれたんでね。それをもらいに戻ってきたのさ」

「何だそりゃ?…っていうか、ちょっと待てよ。今回の準備のために物資を提供、そして、お姫様って…まさか?!」

俺のこの第6感が正しければ、さっきまで感じていたこのいやな予感は見事に的中することになってしまう。…頼む、外れてくれ。俺の必死の回避運動も空しく凍弥からその言葉が伝えられることになるのだった。

「へへ、そうだ。今回の企画にはここにいるアミーナちゃんも我ら生徒会と共に協力してくれることになっていたのだッ!!」

「やっぱりそうかぁッ!!」

おかしいと思ったんだあの大荷物は。花見なんかであんなに荷物があるはずがないからな。

「…あはは。協力することになってしまいました」

恥ずかしそう照れた表情で頭を掻いているミナお姫様。
そして、凍弥はミナを称えるようにばっと両手をミナにかざしていた。

「イエーイ♪♪」

続いて姉さんも凍弥と同じように話に加わってきた。…ってマテマテ。

「姉さん!!ミナまで勝手に巻き込んで何をさせてるんですか?!ミナをこんな怪しげな生徒会の得体の知れない活動に関わらせないでくださいよ」

「ひい~ん。そんなに怒っちゃいや~♪ハルくんにそんなこと言われたらお姉ちゃん泣いちゃうぞ??でも、ハルくん怪しげな生徒会はひどいよ~!そんなこと言って皆に誤解されちゃったらどうするのよ~」

いや、学園の皆とっくに知ってますし、もう手遅れだと思いますよ??

「それにアミーナちゃんは関係なくないよ。既にもう私たち生徒会のプリティーマスコットな正式なメンバーになってくれちゃったんだよ♪♪」

「…………………は?…すいません姉さん、何ですって??」

姉さんのフリーズ魔法のせいで数秒の間俺の思考が停止し追いつかず、もしかしたら今のは聞き間違えなのかもしれないと思い、再度姉さんに訊ねてみた。

「だから~アミーナちゃんもハルくん、そして、私たちと一緒に生徒会で頑張ってくれることになったんだよ~♪♪もう~いくら嬉しいからってお姉ちゃんに2回も言わせるなんて妬いちゃうよ♪♪」

「………」

どうやら聞き間違えではないようだ。それは本当らしい。…ってそうじゃなくて。

「っていつの間にそんなことになってたんですか?!俺、そんなこと一言も聞いてませんよ!!いつ、どこでミナをスカウトしたんですか、あなたは??」